基礎編 2. 金利の期間構造 

2.1 イントロダクション

内部収益率や、債券の複利利回りの計算方法は、キャッシュフローの期間にかかわらず、金利は一定という前提で計算をしています。しかし、実際に市場で観測される金利は、キャッシュフローの期間によって異なります。従って、金融商品のキャッシュフローを割引く際の割引率(Discount Factor)は、期間に対応したものでなければなりません。

 ここで、もう一度、金融商品の価格式を下記します。

$$ 金融商品の価格 =\sum CashFlow_i (T_i) \times Probability(CashFlow_i) \times DiscountFactor(r(T_i)) $$

オプション性のある商品の場合は、\(Probability(CashFlow_i)\) を勘案する必要がありますが、そうで無ければ \( Probability(CashFlow_i)=1\) としていいでしょう。\( DiscountFactor(r(T_i)) \)の中の\( r(T_i) \)は、\(T_i\)が満期のゼロクーポン債の利回りに相当しますが、その値は見ての通り\(T_i\)に依存します。すなわち、金利はキャッシュフローの期日に依存します。  

ところが、そもそも市場で観測される金利の情報は限られており、都合よくその期日のゼロクーポン債など存在していません。Risk Free Rateで使われるLIBOR、Swapでは、限られた期日の金利情報しか得られません。さらに、それらの金利はゼロクーポン債の利回りでもありません。

そこで、市場に存在している商品の利回りから、人工的に合成されたゼロクーポン債価格を導出し、それを\( DiscountFactor(r(T_i)) \) として使います。すなわち、市場で観測される金利は、限られた期日のLIBOR金利やSwap金利でしかありませんが、そこから全ての期日に対応するゼロクーポン債金利と価格、さらには任意のフォワード期間に対応するフォワード金利を導出する事ができます。この金利の期間構造は、すべての金融商品の価格計算に使われるため、最も基本的な土台になります。 

 

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