基礎編 6. クレジットデリバティブズ
6.2 クレジットデフォールトスワップ
6.2.1 基本的な契約形態
クレジットデフォールトスワップは、取引当事者間の店頭デリバティブ契約ですが、経済的には信用保証契約に似た性格を持ちます。その標準的な契約内容は、
- Credit Protection Buyer と Credit Protection Seller の2者間のスワップ契約で、
- あらかじめ決められた Reference Entity(参照債務者)の Reference Obligation(参照債務)に関して、
- Credit Event(デフォールトなどの信用を大きく毀損する事象)が発生した場合、
- 片方の当事者(Credit Protection Seller)が、
- それにより発生した損失額(Loss Given Default)を、
- もう一方の相手方(Credit Protection Buyer)に支払う約束をし、
- 信用の保証を受ける側(Credit Protection Buyer)は、
- その対価として一定金額の Premium を相手方に支払うものです。

他のスワップ契約と同様、キャシュフローの交換契約になり、契約開始時においては、それぞれのキャシュフローの現在価値は等価になっているか、または等価でない場合は等価になるよう手前で現金の授受を行って、等価交換になるように調整します。片方のキャシュフローは、Protection Leg と呼ばれ、参照クレジットに Credit Event が発生した場合にのみ、そこから発生する Loss Given Default 額を支払うキャシュフローになります。もう片方のキャシュフローは、Premium Leg と呼ばれ、契約開始日以降、契約終了日まで、一定期日に一定金額の Premium クーポンの支払いが発生します。これは Credit Protection により損失リスクを引受ける対価になります。但し Credit Event が発生した場合は、その時点で支払い義務が消滅します。Leg という言葉は、スワップ契約で一般的に使われる用語で、交換される2つのキャッシュフローを2本の足に例えて、それぞれの側を示すものです。