基礎編 2. 金利の期間構造
2.6 イールドカーブの構築方法(2): Bootstrapping + Interpolation 法
2.6.1 イントロダクション
2番目のイールドカーブ構築方法は、Bootstrapping+Interpolation法です。パラメトリック法によるイールドカーブは、デリバティブズの時価評価には使えませんが、この方法で作られるイールドカーブは、時価評価に使われます。
大手の金融機関が持つデリバティブズのポジションは巨大で、みなし元本ベースで数百兆円から数千兆円の規模になります。そのすべての時価評価でイールドカーブが使われるので、その微小な形状の変化でも、巨額の損益インパクトをもたらす可能性があります。どの金融機関にとっても、イールドカーブ構築は慎重さを要するデリケートな作業になります。
セクション2.4で Bootstrapping法により、Par CurveからDiscount Factor、Zero Coupon Rate、Forward Rateを導出する方法を、簡単に説明しました。そこでは、各商品の満期時点(以下Pillarと呼びます)の値を期間の短い方から順番に求めました。 そうすると、各Pillarにおける値をすべて求めて、最後に何等かの関数形で繫げば(Interpolationすれば)金利のTerm Structureが完成するような気になります。しかし、実際のアルゴリズムはもっと複雑です。
BootstrappingとInterpolationは、お互いに影響を及ぼし合うので、実際には、それらを同時に行い、さらに何度も微調整を繰り返して、市場データにフィットさせるような手順(アルゴリズム)になっています。この方法は、一般的にはBootstrappingとしか呼ばれていませんが、ここではあえてBootstrapping+Interpolation法と呼びました。
“慎重さを要するデリケートな作業”とは、Interpolation方法の選択に帰着します。その方法は何種類も紹介されていますが、実務で使えるのは僅かです。また、その僅かな選択肢の中でどれが最適かは、答えが無く、ケースバイケースで判断せざるを得ないでしょう。様々なInterpolationの方法については、上級編で説明する予定です。