基礎編 4. オプション 

4.1 オプションの価格をどうやって決めるか?

4.1.2 デジタルオプションの価格

オプションの解説書で、最も簡単なオプションの例として使われるのが、ヨーロピアン型のコールやプットオプションです。しかしオプションの”価格計算”という事で言えば、最も簡単なオプションはデジタル・オプションでしょう。(但し、価格計算はシンプルでも、リスク量は非常にトリッキーな変化をするので、トレーダーにとってはリスク管理が非常に厄介な商品です)。 

このオプションは、行使日に、例えば「株価がある値以上になれば一定の金額(例えば100万円)が受け取れて、それ以下なら何も受取れない」というようなPay-offになります。ある値を少し超えようが(Slightly in the money)、大きく超えようが(Deep in the money)、超えさえしていれば、同じ金額がもらえるという契約です。 

その基準価格(ストライク)が、例えば今の株価の10%上(10% out of the money)で設定されたとして、行使日にその株価を上回る確率を、仮に25%と予測した場合、このオプションの期待値すなわち価格は25%×100万円 + 75%×0円= 25万円になります。あとは、これにDiscount Factorをかけて、現在価値に直せばおわりです。要は、場合分けが、行使価格を上回る場合と上回らない場合の2通りだけ考えれば良いので、このように単純な計算で価格が求まります。 

金融市場では、オプションは、単純なものから複雑なものまで様々なタイプが開発され、取引されています。それぞれについて、様々な価格計算式や方法が研究・発表され、実際に金融実務で使われています。それらの価格計算式や方法は、相当難解な数学のテクニックを使って導出されており、理解は容易ではありません。ただ、実際には確率分布(即ち、平均と標準偏差)さえ判っていれば、そういった複雑な価格計算式の導出過程を理解していなくても、オプション価格は求まります。 

オプションの行使条件が、行使日までの価格の推移に依存する場合(経路依存型)や、オプション行使が満期日以前にも可能な場合(アメリカンやバーミューダンといった行使条件)もあります。そうすると、判る必要があるのは、行使時における確率分布と言うより、その分布を生成する現在から行使日までの価格のプロセス、すなわち確率過程と言った方がいいでしょう。計算時間を気にする必要が無いのであれば、その確率過程を、コンピューターを使ってシミュレーションし、シミュレーション毎のPay-offを計算するだけです。実際に実務でも、そういった方法でオプション価格を計算しているケースはたくさんあります。極論すれば、難解な数学的解析を理解しなくとも、コンピューターの力を借りて、確率変数の変動をシミュレーションすれば、誰にでもオプション価格は求まるのです。金融工学は難解ですが、やろうとしている事は、期待値計算で、それ程難しいものではありません。。 

 

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