基礎編 2. 金利の期間構造
2.2 イールドカーブ
2.2.1 Par Curve
Fixed Incomeに分類されるある特定の金融商品について、その期間毎の利回りを繫いで曲線で表現したものを、イールドカーブ(Yield Curve)と呼びます。その内、債券の最終利回りを繫いだカーブや、金利スワップの市場実勢値となる固定金利を繫いだカーブを特にPar Curveと呼びます。
個別の債券の価格は必ずしも額面の100%、即ち額面と等価(Par)ではありません。しかし、仮に最終利回り(内部収益率)とCouponが一致した場合、価格は額面と一致(Par)、すなわち100(%)になります。あるいは、金利Swapであれば、市場実勢値の固定金利でSwap取引を行うと、変動金利キャッシュフローと固定金利キャッシュフローの現在価値は等価(Par)になります。それらを繫いだカーブという事で、Par Curveと呼ばれています。
2.2.2 金利の期間構造 (Term Structure of Interest Rate)
Par CurveからBootstrappingと呼ばれている方法により、それに内包しているゼロクーポン金利(Zero Coupon RateまたはSpot Rate)、割引率(Discount Factor)、フォワード金利(Forward Rate)を導出できます。それらを繫いだカーブを、それぞれゼロクーポンカーブ(Zero CurveあるいはZero Coupon Curve)、ディスカウントカーブ(Discount Curve)、フォワード(金利)カーブ(Forward CurveあるいはForward Rate Curve)と呼びます。
内包しているゼロクーポン金利やフォワード金利とは、市場で取引されている商品のロングポジションとショートポジションを組み合わせる事によって、人工的に合成できる利回りの事です。
Parカーブそのものと、それが内包しているゼロクーポンカーブ、ディスカウントカーブ、およびフォワードカーブ全体を総称して、金利の期間構造(Term Structure of Interest Rate)と呼びます。
(注:ゼロクーポン金利は、Spot Rateとも呼ばれていました。ある特定の時点(Spot)に対応する一本のキャッシュフロー(ゼロクーポン債のキャッシュフローと同じ)のイールドをSpot Rateと呼び、そのSpot(時点)に対応する利回りという意味です。しかし、Spot Rateは、瞬間短期金利の意味で使われたり、為替レートで直物為替レートの意味でも使われたりするので、紛らわしさを避ける為、最近ではあまり使われていないように思います。ここではZero Coupon RateあるいはZero Rateという呼称を使います)