基礎編 2. 金利の期間構造
2.5 イールドカーブの構築方法(1)
2.5.3 Svenssonモデル
Svenssonは、Nelson-Siegelモデルに項をひとつ、パラメータを2つ増やし、瞬間フォワード金利のカーブと、それを積分したゼロクーポンカーブについて下記のようなモデルを提示しました。
\[ \large f(T)=\beta _0+\beta_1e^{(-T/\tau_1)}+\beta _2(T/\tau_1)e^{(-T/\tau_1)}+\beta _3(T/\tau_2)e^{(-T/\tau_2)} \] \[ \large ZeroCouponRate(T)=\beta_0 + \beta_1\frac{1-e^{(-T/\tau_1)}}{T/\tau_1}+\beta_2\left( \frac{1-e^{(-T/\tau_1 )}}{T/\tau_1}-e^{-T/\tau_1}\right) \\ \large +\beta_3\left( \frac{1-e^{(-T/\tau_2 )}}{T/\tau_2}-e^{-T/\tau_2}\right) \]この式を、解説的な表現で表すと、
\[ 瞬間Forward金利(T)= 定数+ 係数1 × 減衰ファクター \\ + 係数2 × 増大ファクター × 減衰ファクター \\ + 係数3 × 増大ファクター × 減衰ファクター \\ \]パラメータが増えている分だけ表現力が増しています。Nelson-Siegelモデルに第3項が加わっており、Humpを2か所で作ることができます。実際のイールドカーブにおいて、中央銀行が近々金融緩和を行うと予想されている場合、近い将来の金利低下を見込んで一旦カーブは右下がりになります。その後、景気サイクルによって再び金融引き締めが起こると予想されると、右上がりに転じると、まず下向きのHumpが現れます。その後カーブは右上がりになりますが、今度は上向きのHump、あるいはイールドカーブのShoulderと呼ばれる左上に凸の形状が現れます。このような場合、Nelson-Siegelモデルにでは表現しきれないので、項がひとつ加えられたものです。